はじめに
京都の小さな弁当箱・調理器具専門店「BENTO&CO(ベルトラン株式会社)」は、Shopifyを活用した多言語ECサイトで100カ国以上に商品を販売するまでに成長しました。
ブログやSNSで「日本のランチ文化」の魅力を継続的に発信し、欧米ユーザーのファン層を獲得。さらに越境ECの経験を活かして、発送業務システム「Ship&co」として事業を展開するなど、スモールスタートから世界展開した代表的モデルです。
企業概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | ベルトラン株式会社(BENTO&CO) |
| 所在地 | 京都府京都市 |
| 業種 | 弁当箱・調理器具の販売 |
| 設立時期 | 2000年代後半(越境EC開始は2009年頃) |
| 規模 | 小規模企業(従業員数名) |
| 販売チャネル | Shopify(自社サイト) |
| 展開国数 | 100カ国以上 |
事業開始の背景
きっかけ
- 京都の伝統的な弁当箱・調理器具に魅力を感じ、海外への販売を検討
- 当時は越境ECのインフラが整いつつある時期
- リーマンショック後の節約志向の高まり(お弁当持参文化の普及)
初期の課題
- 海外での日本食ブームはあったが、弁当箱専門の販売チャネルが不在
- 言語・文化の違いによるコミュニケーション課題
- 国際配送の複雑さ
成功戦略:コンテンツマーケティング
1. 日本のランチ文化の発信
BENTO&COは単なる商品販売ではなく、「日本のランチ文化」というライフスタイルを提案しました。
ブログコンテンツ
-
お弁当作りのレシピ紹介
- 季節の食材を使った日本のお弁当
- 海外の食材でも作れるアレンジレシピ
-
弁当箱の使い方・手入れ方法
- 日本の職人技の紹介
- 長く愛用するためのコツ
-
日本食文化の解説
- お弁当の歴史
- おかずの組み合わせの美学
2. SNS活用
| プラットフォーム | 内容 | 効果 |
|---|---|---|
| お弁当写真の投稿 | 視覚的な魅力訴求 | |
| コミュニティ形成 | ファンとの対話 | |
| レシピ・インテリア画像 | 生活提案型マーケティング |
3. ユーザー生成コンテンツ(UGC)
購入者が実際に作ったお弁当をSNSでシェアしてもらう仕組みづくり。
- ハッシュタグキャンペーン
- お弁当コンテストの開催
- ユーザー投稿のサイト掲載
プラットフォーム戦略:Shopify
Shopifyを選んだ理由
-
多言語対応
- 英語、フランス語、ドイツ語など自動翻訳機能
- 各国の通貨表示対応
-
カスタマイズ性
- ブランドイメージに合わせたデザイン
- 日本文化を表現するビジュアル
-
決済システム
- 各国の決済方法に対応
- セキュリティの確保
-
拡張性
- アプリによる機能追加
- 成長に合わせたスケール
サイト構成
BENTO&CO サイト構成:
├── トップページ(ビジュアル重視)
├── 商品カテゴリー
│ ├── 弁当箱
│ ├── 箸・カトラリー
│ ├── おにぎりグッズ
│ └── 風呂敷
├── ブログ(コンテンツマーケティング)
├── レシピ集
├── 日本文化紹介
└── カスタマーサポート(多言語)
物流・カスタマーサポート戦略
国際配送の工夫
| 課題 | 対応策 |
|---|---|
| 高額な国際送料 | 一定金額以上で送料無料の設定 |
| 配送期間の長さ | 配送追跡システムの導入 |
| 関税の不確実性 | DDP(関税込み)オプションの提供 |
| 破損リスク | 丁寧な梱包+保険適用 |
カスタマーサポート
- 多言語対応: 英語・フランス語でのメール対応
- 時差対応: テンプレート文書の活用
- FAQ充実: よくある質問の多言語化
越境ECからの事業展開
Ship&coの誕生
BENTO&COは越境EC運用中に感じた課題を解決するため、**発送業務システム「Ship&co」**を開発しました。
課題
- 複数の配送業者の管理が煩雑
- ラベル作成の手間
- 追跡情報の管理
解決策
Ship&coは、複数の国際配送業者を一元管理できるプラットフォームとして提供開始。
| 機能 | 説明 |
|---|---|
| 一元管理 | 複数配送業者の比較・発注 |
| ラベル自動作成 | 宛先情報の自動入力 |
| 追跡統合 | 全配送の追跡情報を一元化 |
| 請求管理 | 配送コストの可視化 |
事業モデルの変化
【変化前】
BENTO&CO(弁当箱販売)
↓
【変化後】
BENTO&CO(弁当箱販売)
+
Ship&co(SaaS事業)
↓
【現在】
越境EC支援事業としてShip&coを本格展開
成功のポイントまとめ
1. コンテンツマーケティングの継続
商品販売だけでなく、日本のランチ文化という価値観を発信し続けたことがファン層形成の鍵。
2. ライフスタイル提案
「弁当箱を買う」→「健康的でおしゃれなランチライフスタイルを手に入れる」へ訴求を転換。
3. コミュニティ形成
SNSを活用して購入者同士のコミュニティを形成し、ロイヤルティ向上。
4. 課題解決型の事業展開
自社の越境EC経験から生まれた課題を、新しいビジネス機会として捉えた視点。
欧米顧客の声
フランスの顧客
「BENTO&COのブログで日本のお弁当文化を知り、虜になりました。毎日のランチが楽しみになりました。」
アメリカの顧客
「日本に行ったことがないのですが、BENTO&COのサイトで日本の雰囲気を感じられます。商品も美しくて機能的です。」
ドイツの顧客
「環境に優しいお弁当生活を始めたくて購入しました。プラスチックフリーで、デザインも素敵です。」
他の事業者への示唆
参考になるポイント
| 事業者タイプ | 学べること |
|---|---|
| ライフスタイル提案型 | 商品の「使い方」や「文化」を発信する重要性 |
| D2Cブランド | Shopifyを活用したブランディング戦略 |
| 小規模事業者 | 少数体制でも世界展開が可能な実証 |
| 伝統工芸品 | 現代のライフスタイルとの結びつけ方 |
コンテンツマーケティングの重要性
- 継続性: 短期間ではなく長期的な発信
- 本質的価値: 商品の裏にある文化・ストーリー
- 双方向性: ファンとの対話を重視
- ビジュアル重視: 写真・動画の質
まとめ
BENTO&COは、京都の小さな専門店から世界100カ国以上への販売、さらにはSaaS事業展開まで成長した稀有な事例です。
成功の鍵:
- 日本のランチ文化という価値観の継続発信
- Shopifyを活用したブランディング
- コミュニティ形成によるロイヤルティ向上
- 課題解決から生まれた新規事業(Ship&co)
コンテンツマーケティングと越境ECの相乗効果を最大化した好例です。
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